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出会い(2000.5.17)

 繰り返される日常。変わったことは何もない。確かに、ないはずだ。
 なのに、感じるこの違和感・・・・・・。
 自分は、何を恐れているのだろう・・・・・・?

 コンコンコン・・・・・・。
 部屋の扉をノックする音。ジーンが部屋を出た音がしたばかりだから、扉の前に立っているのは ジーンだろう。
 そうとわかっていても、ナルは返事をしなかった。向こうも、返事を期待してはいない。ただの合図だ。
『ナル? 入るよ』
 ジーンは、直に問うてから入って来た。
「具合どう?」
 ナルは、薄く目を開けてベッドからジーンを睨む。良ければ、いつまでもベッドに収まっていたりは しない。
「ゆうべの、あれ、だよね。やっぱり」
 ナルのベッドに腰掛けて、ジーンが溜息まじりに問う。
 ゆうべ・・・・・・、デイヴィス家には雨が降った。
 夜中に突然、屋根を打つ鋭い音が十数秒間続いた。降ったのは、石の雨だった。
 午前中、ジーンは庭で石拾いをして過ごした。初めてのことではない。そして、ナルがそれに合わせて 寝込むのも。
「昨日、なんかいやなことあったの?」
 尋ねる声に、少し陰がある。ナルは逆に問いかける。
『あの家、いなかったか?』
 昨日、2人は病床にあるルエラの友人宅に連れて行かれ、そこで半日を過ごした。
 学校は休みだったし、ほとんど丸一日、2人は一緒だった。ナルに何事かあれば、ジーンも見ているはずなのだ。 しかし、ジーンにその心当たりはない。けれど・・・・・・。
『いたよ。小さな大人の男の人。キッチンに立ってた。怨みに凝り固まった人が』
 ジーンには、霊が見える。
 養父母もそれは知っているし、ナルももちろん知っている。けれど、ルエラがそれをわざわざ尋ねる ようなことはないし、ジーンもどうにかできるわけでもないのに『いる』などとは言わない。
 そして、日常的に見るそれを、いちいちナルに報告したりもしない。
『ナルも、見たの?』
 ナルは、答えるかわりに目を閉じる。ジーンが溜息を落とすのが聞こえた。
 ナルに霊視はできない。ジーンのようには見えない。けれど、見えたのだ。
 友人を見舞うルエラを、壁によりかかって待っていた時。ナルは、ふいに意識の切り替わる容赦ない感覚に 襲われた。
 そして、冷たい雨の中、一人地面に横たわる男の想いを受けた。誰にともなく怨みをぶつける男の念を 断ち切り、ナルが自分の意識を取り戻すと、ジーンがキッチンの方に視線を投げていた。
 あとで庭を案内してもらった時、男の見たのと同じ景色がそこから見えた。
「僕はね、霊の声は耳から聞こえてくるんだよ。普通の声とは、少し響きが違うけれど」
 言いながら、ジーンが掛け布団の中に手を入れてきた。探って、ナルの手首をつかむ。
「なのに、時々、同じ霊の声なのに、違う聞こえ方がするのがあるんだ。・・・・・・ナルとチャットする のと同じ感じで聞こえて、・・・・・・見える」
 双子である2人の間には、意識のつながる部分がある。互いの声を拾える。声に出さずに、遠く離れて いても、会話を交わすことができる。その場所から、互いの心に押し入ることも、不可能ではない。
 そこから、聞こえる声、見えるものがある。
「ナル。彼が死んでいくのを見たんだろう?」
 手首をつかんで脈を探りながら、ジーンは問う。
「ナルが見てるんだね、あれは。・・・・・・だから、石が降ったんだ」
 断定する言葉にも、ナルは反応しない。ジーンは枕元の時計の秒針を見る。
 昔から、どうかすると周囲で石が降ることがあった。
 たいていは、2人にいやなことがあった時だ。養子に来てからは、治まっていた。1、2個なら、 おや、なんだろう? で済む。しかし、近頃それが、気のせいで済まないレベルで起きる。
 河原の石が、屋根に落ちてくるのだ。さすがに、両親も因果関係を無視できなくなったらしい。 今朝、寝起きのいいナルがベッドから起き出して来ないことを心配して、マーティンとルエラがナルの 部屋に行った。どんな会話が交わされたのか、ジーンは知らない。
 ただ、2人に訊かれて、孤児院にいた頃にも石が降ったことがあるとジーンは教えた。
「まだ、動くのはきつそうだね。用があったら呼んで。部屋にいるから」
 ジーンは、ナルの返事を待たずにベッドから立ち上がる。
 1分間数えて、ナルの脈拍は50を切っていた。 しかも、途中、4回ほど抜けた。石が降ったあと、ナルはこうして寝込む。
 石を降らすのは、ナルだ。そして、ジーンに感知できないはずの霊の過去の意識を仲介しているのも。
 ジーンはナルを置いて、部屋を出た。そこに、下からルエラの声がした。
『お昼どうする?』
 ジーンが意識下の戸をノックして尋ねると、今度は返答があった。
『いらない』

 翌日、学校があったが、ナルは大事をとって休み、ジーンは一人で登校した。帰ると、ナルは下で ソファに収まり、本を読んでいた。
「ただいま。ナル、元気になった?」
 ちゃんと起きていたのが嬉しくて、声をかけながらただいまのキスをする。・・・・・・無反応。
(あ、しまった)
 ジーンは、ナルが硬直している内にキッチンへと逃げ込む。
「ただいま、ルエラ。お客さん来るの?」
 パイを焼く匂いに包まれながら、養母に迎えられる。ルエラはキスの挨拶を返して、ジーンの問いを 肯定する。
「お父さんの学校の先生よ。お茶はご一緒してね」
 つまり、お茶が済んだら後は大人の時間ということだ。
 養父のマーティンが、かなり年長の同僚を連れて帰宅したのは、ちょうどパイが焼きあがった時だった。
 ナルは部屋に引っ込み、ジーンだけがその大人のお茶会に参加した。マーティンの連れて来た彼が 精神医学の大家であることを、話の中で知る。
 ジーンがそろそろ上に行こうとした時、マーティンが先に口を出した。
「オリヴァーを紹介しておこう。ジーン、呼んできてくれないか?」
 迎えに行くとナルはベッドに転げていたが、呼んでいると告げると起き出した。ジーンは自分の部屋に 戻る。階段を下りて行くナルに、ノックして、声を投げてから。
『開けておいてよ。ダメ?』
 思考をつなげたままに。返事はそっけない。
『駄目だ』
 しばらくして、ジーンはマーティンに呼ばれて下に降りた。
「ジーン、石を捨てに行こう」
 庭の隅に積み上げておいた、家に降ってきた河原の石。河原までは、歩いて5分ほどだ。
 下に降りてみると、客とナルがいない。ルエラはキッチンで片付けをしていた。
 ジーンはマーティンに従って石を袋に詰め、一緒に河原まで歩いた。
 マーティンの書斎の窓のカーテンが引かれていたから、ナルたちはそこにいるのかも知れないと思ったけれ ど、ジーンはあえて訊かなかった。  たわいない話をして、石が降ったことさえも冗談にかえて、河原でそこにあるのと同質の石を撒いた。
「屋根、大丈夫だったの?」
「ああ。天窓がなくて良かったよ」
 大きなものは拳大。人の上に降ったなら、怪我だけで済むとは限らない。まだ、これで怪我をさせた ことはないけれど・・・・・・。
「・・・・・・ナルは、PKなんだね」
 家の周囲にポルターガイストを起こすような霊はいない。ポルターガイストの原因が人間にある場合が あることを、ジーンは知っている。
 あのナルが、ぐったりとベッドに倒れていた様子。
「おまけに、サイコメトリストかも知れないよ?」
「・・・・・・ジーン?」
 怪訝そうに彼を見返す養父に、ジーンは笑ってみせた。彼だけでは、ナルを救うことはできない。それを 知っているから。だから、この父に、そして母に、頼るべきなのだ。それは、決して、他人を頼る恥では ないはずだ。
「・・・・・・ナルは、すごいんだよ」

 ナルは我に返る。
 何をしていたんだろうと思う一瞬に、目の前の人物に注意を引かれる。初老の紳士。その手元。
 老人の持つ置物は、いつも書斎に置いてある婦人像だった。何故、彼はそんなものを持っているん だろうか?
「やあ、老人の話に長々とつきあってもらって悪かったね。無理をさせてしまったかな?」
「いえ・・・・・・。大丈夫です」
 老人が置物を書斎の机に置き、カーテンを開ける。部屋が暗かったことに、今更気づく。老人は、戻ると 机のスタンドの明かりを消した。
「夕食はご一緒できるのかな? 今晩は、マーティンと夜通し語り合う予定になっていてね。 君たちも一緒できるようになるのは、何年後かな。楽しみだよ」
 たわいない言葉を交わしているうちに、養父とジーンが戻ってくる声が聞こえた。養父が書斎にやって 来て、ナルはようやく解放される。・・・・・・ひどく疲れた。
「ナル、また顔色悪いよ?」
「大丈夫だ」
 顔をあわすなり、ジーンが体温を計ろうと手を伸ばすのを手で払う。さっさと階段へと向かった。
「ナール。ちゃんと、夕飯まではベッドで休んでなよ。本読んだりしてるんじゃないよ?」
「うるさい」
 すぐ後ろをくっついてくるジーンをうっとおしく思いながら、手すりに重心を預けるようにして2階に たどりつく。なおも色々言うジーンを無視して、ナルは自分の部屋に閉じこもった。
 そのまま、ベッドに体を投げ出した。本に手をのばす余裕などなかった。

 夕食は客を迎えてのものとなったが、ナルは食欲もなく、ルエラがナル用に用意してくれた食事さえ もろくに食べられなかった。しかし、ジーンがいつもより豪華な食事をおおいに平らげつつ場を盛り上げて くれたので、雰囲気を壊すようなことにはならずに済んだ。
 食後は彼らにつきあわず、ルエラの休んでいなさいという言葉に、ナルはさっさと自室に引き上げた。
 読みかけの本に手を出したかったが、ベッドに倒れこんだ後はもう腕を上げるのもかったるくて、 おとなしく横になっているしかなかった。

「ナル。ちゃんと寝ないと風邪引くよ」
 ジーンの声に起こされるまで、ナルはいつのまにか眠ってしまっていた。
「ひどい汗だよ、悪い夢でも見た?」
 見れば、ジーンはすでにパジャマに着替えている。部屋の明かりはスタンドだけ。服のままベッドに横にな っていたナルの体には、布団が1枚かけてあった。途中、ルエラが様子を見に来たのだろう。
「夢なんか、見てない」
 起き出すと、ジーンの言うとおり、びっしょりと寝汗をかいていた。
「シャワー浴びた方がいいんじゃないの、ナル。大丈夫?」
 むくんでいる感じもするし、できれば着替えだけすまして寝てしまいたかったが、サウナにでも放り 込まれたかのように汗まみれだったので、ナルもここはおとなしく言うことを聞くことにした。汗が 冷えて寒いし、本当に風邪を引きかねない。
 シャワーを浴びにいく用意をし終えてふと見れば、ジーンはナルのベッドに機嫌良さそうに座っている。 枕を大事そうに抱えて、だ。
 ナルの怪訝そうな視線に気付き、ジーンがにーっこりと笑んだ。
「今日は、一緒に寝ようね」

 書斎の机の上には、破れやすそうな薄い紙が敷かれていた。それは周囲をテープで留められ、中央に は小さなブロンズの婦人像。その足下の台座の輪郭は、赤い線で紙に記されている。
「像の重さが2.1キロ。拳大の石を無意識に運ぶほどの念動力者なら、紙が破けるくらいには動くだろ う」
 マーティンの年老いた同僚は、そう言って窓の施錠を確認する。彼は、SPRで念力を研究する学者で もあるのだ。
 書斎の鍵をかけ、鍵穴と扉と壁とを一気にテープで塞ぐ。はがすときに、少しばかり壁紙が剥げるかも 知れないなと思ったが、マーティンは黙っていた。
「さあ、後は朝、確認するだけだ。君の秘蔵の酒とやらを、拝ませていただこうか?」

 結局、彼らがのんびりと酒を楽しむことができたのは、たったの1杯だけだった。

 突き上げる衝撃が、自分の内側で発された。
 目を開くと同時に、どっと汗が噴き出す。部屋は暗い。今の今まで熟睡していた。衝撃は一瞬で過ぎ 去ったものの、激しい鼓動が耳を打ち、ショックで体が硬直していた。
(び、びっくりした〜〜〜)
 何がなんだかわからなかったものの、自分を落ち着けるためにジーンは胸の内でつぶやく。その時、 すぐ隣りで誰かが動いた。そういえば、今日はナルと一緒に寝ていたんだっけ、と思う。そして、 ジーンはいやな予感を感じて飛び起きた。
「ナル!?」
 スタンドの明かりで、弟の苦しむ姿があらわになる。襟をつかみ、シーツに爪を立て体を固くしている ナル。息ができないのだと、ジーンはすぐに察した。だからといって、何もしてやれない。慌ててベッド を飛び出した。
「ルエラ! マーティン! お願い来てっ!! 早く!」
 足音を確認してジーンが弟の元に戻ると、ナルは荒い呼吸を再開させていた。

 真夜中に、ナルは病院に運ばれていった。大人3人がそれについて行き、ジーンは1人、家に残された。
 ナルは、呼吸を取り戻したかと思えばまた息をつまらせるということを繰り返していたが、家を出る頃 には、それもかなり落ち着いていた。4人を見送って玄関の扉を閉め、鍵をかけてキッチンに向かう。
 冷たいミルクをグラスに注いで、ジーンはリビングに行った。そこで、帰りを待つつもりで。
 彼は、グラスを手にしたまま、壁を見て立ち呆ける。
 西側の壁。その向こうには、マーティンの書斎がある。そこに、妙なものがあったのだ。
 それは、壁を突き破り台座を引っかけて斜めに傾いている、書斎に置いてあるはずのブロンズの婦人像 だった。

 誰もいないのに聞こえるノック。窓を叩く小石の音。勝手に崩れる本の山。時計のガラスに走った ヒビ。
 ナル自身は、とうの昔に自分の能力に気付いていた。
 コントロールできない念動力にも、情報を読みとる能力にも。
 けれど、そんなものがあるからどうだというのか。自分で便利に使えるものでもない。だからといって、 人の助けになるかといえばそうでもない。役に立つこともあるのだろうが、そのために人に関わるのは 面倒だし、興味本位の人々につきまとわれるのはうっとうしい。
 ジーンがSPRで被験者として出入りするのにくっついて行き、その実験の様子を見ていても、発展 途上な実験ぶりにいらいらするだけ。同じ役目をするのはごめんだと思い、たまにサイコメトリの能力で 知り得た情報をジーンに横流しするだけで、ナルはジーンの影に隠れて過ごしてきた。
 けれど、コントロールの効かない能力のために、すべてが明らかになってしまった。
 PKの実験。サイコメトリの実験。コントロールできるように指導する手段でもあるのかと思えばそう でもない。暴走すればするだけ研究者は喜び、ナルは心身ともにぼろぼろになっていく。
 関係者の縁で警察に協力させられ、事件の解決に貢献することもあった。1度などは生き埋めになって いた少年を救った。それはそれでいい。けれど、被害者の恐怖や苦しみ、痛みをそのまま受け取るなどと いうことは、誰にとってもつらいものだろう。まして、わずか11歳のナルにはひどく過酷な経験だ。
 更に追い打ちをかけるようにして、その記憶が悪夢を呼び、家に石を降らせてしまう。そう すれば体に無用な負荷がかかって寝込むことになる。
 ジーンが心配して、2人の間につながるラインを通して力をやりとりすることができるようになり、 しかもそれを増幅していくことができるとわかり、PKの実験は楽になったけれど。

 実験に駆り出されるようになって、1年がたとうとする頃。
 マーティンが、家に1人の学生を連れて来た。
 ナルよりも、頭2つ分以上背が高い。この国の大人は総じて大きいが、彼のように細く長いのは珍しい。 おまけに、彼は異国人だった。
「リンは、元々は香港にいたんだそうだ。日本に留学していたから、日本語もわかるそうだよ」
『はじめまして』
 マーティンの紹介のおかげで、ナルとジーンが聞いた彼の第一声は、日本語だった。
 ジーンはナル以外の人間と日本語で話せるとはしゃいでいたが、かえってくる言葉はごく短い。
 はじめはあまり日本語がうまくないからかと思ったが、英語の会話でも必要最小限、よりは少し多い かなという程度しか話さない。それだって、お茶に呼ばれた以上黙っているわけにいかないから口数が 多めということらしい。
 ナルとジーンが引き上げたあとも、3人で何やら話をしていたが、リンが帰る前に、ナルだけが下に 呼ばれた。PKを制御できるようにするために、巫蠱道の道士だというリンから、気功法を習わないか という話だった。

 林興除という男は、初めて会うタイプの人物だった。
 英語にしても日本語にしても、砕けた話し方はしない。話からすると、物心つく前から道士としての修行 に入っていてきっちりとしごかれていたために、友達とはしゃぎまわったりといった経験がないらしい。 弟妹や同年代の親戚も、祖父から道士としての指導を受ける彼とは一線を画していたようだった。
 彼が一回りも年下のナルたちに常に敬語を使うのは、単に砕けた言葉の使い方をよく知らないのだろう というのがジーンの言い分だったが、ナルは、祖父ら指導者からみっ ちりとしごかれたトラウマでもあるんじゃないかと、いじわるに考えていたりした。
 そして、リンとは逆に、ナルとジーンは敬語の免疫がなかった。リンはどうか知らないが、2人はリン から敬語の使い方も学んだことになる。

 ナルはPKをおおむねコントロールできるようになってきた。それでも、サイコメトリの実験のせい で屋根に石を降らすことは、完全にはおさまらなかった。が、これには、ナルは別の手段に出た。
 はじめはジーンの影に隠れ、次には従順な被験者でいることで、無用な人との関わりを最小限に抑えよう としてきた。けれど、そうしていては、好きなこともやれない。
 ジーンの能力。自分の能力。その能力自体は、何を生み出すでもない。
 けれど、それによって見えてくるものがある。目に見えないそれらは、いったいなんなのだろうか?
 ナルは、おとなしく被験者でいることをやめた。そうして、実験する側にまわることによって、石を 降らすことはなくなった。
 ある日、ジーンが言った。
「『ジーン』て呼んでよ」
 そう、リンに。
 リンは無言で、隣りにいたナルに視線をよこした。無表情の中に戸惑いがあることが、ナルにはわかった。
 だから、言ってやった。
「『ナル』でいい」
 ささやかな苛めのつもりだったのだが、それ以来、彼らはリンから愛称で呼ばれるようになった。
 リンは、イギリスに来てから両親以外で彼らをそう呼ぶ最初の人間になったのだった。

 今回も、多分に推測入ってます。リンさんが両親以外で愛称で呼んだ最初の人(はあ と)という記述はありません。生き埋め事件も多分、もう少し後じゃないかと思います。ナルとジーンの 「ツインチャンネルによるパワートス」とやらが、いつから始まったものかも不明です。ナルが ジーンの影に隠れて力を隠していた期間は2年とのことです。被験者となっていたのは1年ほどで、12歳の 時に研究者側にまわったということなので、7歳で孤児に、8歳で養子に、9〜11歳の間能力ひた隠し、 11〜12歳の間は被験者に、12歳からは研究者側に、ということのようです。この辺りの記述は確認 しております。はい。

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