きり丸のおはなしアルバイトその1

 へい、ビタ銭2枚、毎度あり〜♪
 お姉さんも物好きだねえ、そんなに土井先生の話聞きたい?  あ、まさかどっかのくの・・・・・・いや、なんでもないなんでもないです。
 え? 先生ってなんの先生って?
 やだなあ、あの人いろいろ物知りだから先生って呼ばれてるだけですって。
 うん、頭はいいですよ。すごく難しいこといっぱい知ってるし、計算も早いし。
 うん、強いし。料理も裁縫も上手。
 え? うんそうですね、なんでも上手でなんでもできる。見た目も確かに悪くはないっすね。
 ああ、はいはい、惚れて当たり前ってことね。いや大丈夫、決まった相手はいないみたいですよ。
 うん、安心してください。
 え? 決まってない相手はいるのかって?
 いや、知んないですけど。
 まあ、この時代ですから、適当に人妻夜這ったりして・・・・・・はいごめんなさいごめんなさい知りません知りません想像です僕の勝手な想像ですーっ!!
 落ち着いて落ち着いて。
 え? どんな格好で寝てるか? て、単一枚で。あ、その格好じゃない?
 うーん、たいていオレ先に寝て後で起きるしなあ。先生、睡眠時間短いんすよ。
 寝る部屋別だし。え? ああ、先生は奥の部屋で寝るけど、オレは囲炉裏端で。
 真夏と真冬は先生も囲炉裏端で寝ることあるよ。夏は風通しいいし、冬はあったかいから。
 うーん、そうだなあ、だいたい、横向いてるかな。いっつもこっちに背中向けてるんだから、右が下で。
 寝つきもいいんだ。おやすみって言って横になったと思ったら、もう寝てる。
 え? いや、別にいびきかいたり歯ぎしりしたりもしない。静かですよ。そりゃもう。え? なのになんですぐ寝たってわかるかって?
 えーと。いや、その、ちょっと寒かったりでくっついて寝させてもらったこともあって。
 いやいや変な誤解しないでくださいね。土井先生は子供に手を出すような人じゃないっすよ、もちろん。
 惚れた相手のことは信じなさいって。
 で、本当、本気で一瞬で寝ちゃう。
 けど、話かければすぐ目を覚ますんだけど、用が済んだらまた一瞬で寝る。寝るのも覚めるのも早い。
 え? 着たきりすずめのあの服?
 はは、替えをオレの服に直してくれちゃってから、あれ一枚なんですよね。
 着替え、買えないみたいで。この時代、布は高いっすからねえ。オレが色々売り飛ばしたの買い戻したりでお金ないんでしょうねー。
 いや、オレに補助してくれたりしてるわけじゃないですよ、オレが利ザヤを儲けてるってそりゃそうですけどいやそのあの。
 夏なんか夜洗えば朝には乾いてたりするはずなのに洗わないし。まあ、急に夜中に用ができて出かけることもあるから、タイミングが難しいのかも。
 汚れてるのが気にならないわけじゃないと思いますよ、体はよく洗ってますから。
 服も見た目ほどくさくはないです。体の方が綺麗だから変なにおいつきにくいんじゃないんすか?
 そろそろいいっすか? オレ、バイトの時間だし。
 え? はいはい、またいつでもどうぞ。お代よろしく!
 じゃ、バイト行ってきま〜すっ♪

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